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絶食ダイオウグソクムシ、死因は「餓死」ではなかった…胃に謎の液体

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絶食ダイオウグソクムシ、死因は「餓死」ではなかった…胃に謎の液体

鳥羽水族館(三重県鳥羽市)で飼育され、5年以上の絶食記録を残して2月に死んだ深海生物「ダイオウグソクムシ」。その不思議な生命体の解明へ関心が高まっている。水族館が死後まもなく解剖したところ、体内から正体不明の液体を検出。液体からは菌も発見され、食べなくても生きていける、長寿に関係した“夢の酵母”の可能性も指摘されている。グロテクスだが人気を集めたダイオウグソクムシ。謎の解明はどこまで進むか-。

◆6年余、ほぼ成長せず

 1月初めに絶食6年目に入ったとして話題を呼んだダイオウグソウムシ「No.1」だが、2月14日午後5時半ごろ、展示水槽で死んでいるのを飼育員の森滝丈也さん(44)らが確認した。森滝さんはこの日朝の観察で体が弱っているように感じたといい、「とうとうその日が来たな」と死を冷静に受け止めた。

 水族館での飼育日数は2350日(6年と158日)、平成21年1月2日に50グラムのアジを食べて以降、絶食日数は1869日(5年と43日)に達していた。

 メキシコ湾の海底約800メートルで捕獲し19年9月にダイオウグソクムシの第一号として入館し、「No.1」と命名された。当時の体長は29センチ、体重は1040グラム。死亡時の体長は入館時と変化なく、体重も1060グラムと大きな差はなかった。

 年齢を計る方法は未解明だが、生殖に関係する器官がないため成熟した個体ではないとみられる。入館以来6年5カ月を生き続けたが、その間の絶食が5年余りに及んだのは、水族館にとっても驚異的なことだった。

◆解剖!体内から見たことない液体が

 食べなくても長期間生きた生態を本格的に解明しようと、森滝さんが死後まもなく解剖したところ、これまた驚くべきことが分かった。まず目を見張ったのはメスで開いた胃の内部。見たこともない淡褐色の液体で満たされていた。過去に死亡したダイオウグソクムシの個体からは未消化の固形物が残っているか、胃が空っぽの状態だったが、このような液体を見たのは初めてだった。

 液体は約130ccと胃を埋め尽くすほどの量があり、ダイオウグソクムシ特有の生臭い腐臭がした。液体以外に固形物はなかった。(スピードブレイドアイアン)

 さらに光学顕微鏡で液体をのぞくと、中に長さ10ミクロン(100分の1ミリ)ほどの菌類が見つかった。株分かれしている様子も見られ、1日後には株がさらに増殖していた。出芽や分裂で増える単細胞の酵母に近い存在と推定している。

 こうした菌類は酵母様真菌(こうぼようしんきん)と呼ばれ、土の中など自然界にあるほか、小動物の消化器官に存在するものが知られ、下痢を繰り返した犬などの体内から検出されるケースがある。酵母は、パン酵母やビール酵母など糖分を分解してアルコールなどに変えることで知られる。

 そこで、No.1の酵母様真菌と長期間の絶食の関連が焦点となった。酵母と長寿の関係は、さまざまな研究が続いている。静岡県三島市の国立遺伝学研究所の研究チームが、昨年8月に長寿遺伝子の働きを解明して酵母菌の寿命を操作する実験に成功。酵母と長寿遺伝子の関連が分かり注目された。

◆食べずに生きられる?

 果たして、No.1の液体から検出された酵母様真菌は、食べないという状態にもかかわらず、空腹感を忘れさせ生きながらえる作用をもたらす存在なのか。大きな仮説が生まれた。

 一方、No.1の消化管全体に炎症や変色はなく、過去に解剖した個体よりも状態がよかった。甲羅の裏側などの肉も痩(や)せているように見えなかった。捕食している個体と同様に長期間の絶食を経たとは思えないような健全さをうかがわせた。こうした状態から、森滝さんは「直接の死因はわからないが、餓死したという状況ではない」と判断。不老要素が酵母様真菌に含まれている可能性も浮上した。

 真菌について森滝さんは「初めて見るもので、まったく正体が分からない」と話す。ただ寿命との関係よりもまず、絶食との関わりあいに注目し、「体内でどのように作用していたのか」を解明したいという。

 No.1から採取した消化管内部の液体は、健康診断で採取した血液などを分析する三重県伊勢市内の臨床検査センターにも送り検査した。その絶食の偉業が長寿と関係するなど、大きな発見につながる可能性も期待されたが、結局、検査で液体の正体は分からなかった。

 ダイオウグソクムシは約10年前に「変な生き物」ブームで脚光を浴びるまで見向きもされなかった。この生物に関する論文は海外に数件しかなく、いずれも何を食べたかという胃の内容物などを記しているだけで生態の詳しい研究は進んでいない。

◆他のダイオウグソクムシも絶食

 ただ同水族館ではNo.1以外のダイオウグソクムシでも絶食が観察されており、No.5という個体は絶食期間1年3カ月で、No.1に代わって現在記録を持つ。このことから、一般的にダイオウグソクムシは絶食に強いとみられる。

 神奈川県藤沢市の新江ノ島水族館では、No.1とほぼ同時期の19年からダイオウグソクムシの飼育を始め、現在は7個体に3カ月に1度の割合でサンマやイワシなどを与えている。飼育員の北嶋円さん(32)は「もともと食が細い生き物という知識の中で、分からないことが多い。限られた餌を与えているので、これまでに死んだ6個体はいずれも解剖までして調べることはなかった」と話す。

 深海生物学を専門とする北里大海洋生命科学部の三宅裕志講師(44)は「No.1の体内の液体が、ヒトの腸内細菌のように共生関係にあることも考えられる。逆にその液体が原因で死んだのかもしれない。ダイオウグソクムシに関する資料はまだまだ少なく、もっとデータを集める必要がある」と指摘する。

 No.1の絶食には、ネットをはじめとして大きな関心が集まった。これをきっかけに、ダイオウグソクムシの研究が盛んになれば、人の生活や健康に結びつく大きな成果が生まれるかもしれない。






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